人魚姫3 | 孤独が好きな寂しがりやBlog

人魚姫3

;人魚姫1 @前章の前章@wrote on 05月10日 04時56分20秒

;人魚姫2 @前章@wrote on 05月13日 01時02分16秒

;●●●書き始め●●●

;5/18 4:00



ざざん……ざざん……。


さして大きくはない砂浜に波の音が響く。


その砂浜を並んで通じる1本の道。


幹線道路から外れたその街道は、ある王族のお気に入りだった。


王太子の庶子として生まれながらも、母親が漁師の娘ゆえだったためかもしれない。


母親―――未だ処女(おとめ)であったころ―――の美貌に目を付けた貴族が、

母親を養女に迎え入れ、王太子の侍女として差し出され、手を付けられて生まれた子が、

その街道を走る馬車に乗っていた。


「―――私は海が好きなんだ」


そう言って、毎度毎度、王城からの行き帰りにその道を通っていた。


フィリックス=V=スフォルツァンド=ガードマイヤー。

その王族の名前。


かつて、フィリアに助けられた男だった。




いつもと変わらぬ風景。

いつもと変わらぬ潮風。

いつもと変わらぬ香り。


いつものように、馬車の外に見える海岸線を眺めながら馬車を走らせていた。


頬杖をついて海岸線を眺めやっていたフィリックスは、

砂浜に何かが「ある」のに気付いた。


「あれは……?」


やや遠くにあるため、最初は人とは気付かなかった。

それが人―――倒れてて身動きすらしない―――と気付いたのは、

まさに通り過ぎようとした時だった。


「馬車を止めてくれ!」


フィリックスは御者に向かって叫んだ。

同席していた執事が、何事が起こったのか分らず、

フィリックスの方を振り向いた。


「何事ですか、殿下?」


「人が倒れている」


そう執事に言いやると、フィリックスは馬車から出て、

倒れている人影に向かって走って行った。


執事がそれに続く。

前後に並んで走っていた馬車からも、近衛兵が何事かも分らないまま、

フィリックスに向かって走る。


「人……?」


フィリックスが駆け寄っても、倒れている人は動かない。

なだらかな身体のラインと肌を見ると、一見で若い女性と分る。


裸で倒れているのが解せない。

フィリックスの頭の中にちらりと浮かんだが、それを打ち消し、

女性を起こそうとした。


「君、大丈夫かい?」


「ん……」


倒れている女性は、すぐに反応した。

なおも揺り起こそうとすると、女性は目が覚めたらしく、うっすらと目をあけた。


「こ……ここは?」


女性は上半身を起こし、あたりを見回した。


裸であったため、フィリックスの視界に、その豊満な乳房があらわになった。

女性は気付いていないのか、それを隠そうともしない。


「う……」


始めて見たわけでは無いが、こうも無防備に―――しかも白昼の下で―――裸を晒されると、

さすがに青年としてはたじろいでしまう。


「殿下……その女性(にょしょう)は?」


走り寄って来た執事がフィリックスに向かって問い掛けた。

すでに年配であったため、走るだけでも一苦労だったろう、息が少しあがっている。


「あ、フィデル……何か着る物を……」


「……わかりました。

 近衛兵! 馬車の中にマントがあろう。それを1枚用意せよ」


「承知しました」


駆け寄ってきた近衛兵のうち、1人が馬車に向かって走り出した。


「君……名前は?」


女性から視線を外しつつ、フィリックスは問い掛けた。


「わ、私のなま……あ!!」


女性はフィリックスの顔を見て、喚起の表情を浮かべて

フィリックスに抱きついた。


「フィリックス……様」


フィリックスは後ろに引こうとしたが、不意をつかれたために、

そのまま女性と供に倒れこんでしまった。


「貴様!! 殿下に向かって何を……!!」


「きゃぁぁっ!!」


近衛兵は一瞬躊躇したが、フィリックスから女性を引き剥がし、

うつ伏せに倒した。


「な…何するのよ!!」


女性は近衛兵を振りほどこうとしたが、いかんせん非力で抗いようがない。


「待て、彼女は私に危害を加えるつもりではないだろう。

 そもそも、何も持たないはだ……何も武器は持っていないではないか」


「しかし殿下、女性とはいえ素性も分らぬ以上は……」


「相手は女性、しかも何も持っていない。

 そんな女性相手に、私が遅れを取るとでも?」


「殿下。そのような物言いは卑怯でもありましょう。

 近衛兵は己の職分を全うしたもの。

 決して非難には当たりますまい」


「それはそうだが……」


フィリックスは苦笑しながらフィデル(執事)に向かって言った。


「とはいえ、見るからに遭難した女性だろう。

 事情を聞くにせよ保護するにせよ、

 そのような状況では彼女に対して失礼にあたろう」


近衛兵が女性を取り押さえ、フィリックスと執事がやり取りをしている間に

もう一人の近衛兵が3枚のマントを持ってきた。


「マントをお持ちしましたが……そこのお嬢さん(フロイライン)に?」


「ああ、ありがとう。

 ……フィデル、彼女は君に任せていいかな?」


「分かりました。殿下や近衛兵には目の毒でしょうからな」


にやり、とも笑わず、フィデルは畏まって女性をあやすように宥めに入った。






「まず、貴女の名前は……?」


「フィリア。フィリア=ヴァンホーデン」


「フィリア……?」


天真爛漫、という言葉が相応しいくらいの笑顔でフィリアはフィリックスに答えた。

それに対して、フィリックスは「フィリア」と言う名前を聞いて眉を潜めた。


(どこかで聞いたことがある名だが……)


人と会うのが仕事、と言わんばかりのフィリックスの生活は、

かつて海で助けられた女性の名前を思い出せなかった。


「ところで、フロイライン・フィリア、貴女はどうしてあの場所で?

 乗っていた船が遭難したのかい?」


「ううん。フィリックス様、あなたに会いにきたの」


「私に会いにとは……」


意図不明な回答を返され、赤面する以前にフィリックスは狼狽した。


「では、フロイライン・フィリア。貴女はどこからやってきたの?」


「どこって……海から」


「……いや、海と言うのではなく、それでは、出身地は?」


「だから、海」


「……。」


さすがにフィリックスも心の中で頭を抱え込んだ。


「殿下、ひょっとしたら彼女は記憶を落としているのかも知れませぬな」


「記憶……?」


フィデルの囁きにフィリックスはうなずいた。


「そうかもしれないな。となると……どうすべきか……」


「私の知っている限りでは、フロイラインに似た貴族・他国の方は存じません。

 現段階で船が遭難したという報告も上がっておりませんので、判断しかねますが、

 奴隷船から逃亡して流れ着いた、とも考えられます」


「……となると、どうすべきか?」


「フロイラインを保護なさいまして、所有者が名乗り出る、

 あるいは船が遭難している場合ですと、そちらに問い合わせるのが筋かと」


「何にせよ、彼女を……この娘を保護しておくべし、という事か」


あまりフィリアにとって好ましい話ではないが、聞いていないかのように、

さして広くも無い馬車の中で、むしゃぶりつくかのように

フィリックスに抱きついて離さないフィリア。


フィデルはその姿を眺めやり、最後にこうしめくくった。


「ご典医(王族の専属医者)殿にお預けして保護させましょう。

 そうしておけば、フロイラインの記憶も戻るかもしれませんし、

 どのような事態にも対応できましょう」





それ以後、フィリックスは典医にフィリアを預け、治療に専念させた。


1日に1度、フィリックスはフィリアに会う事にしていたが、

「殿下に合わせろ、とうるさいものでして……」

という遠慮がちな苦情が典医から出てきたので、

苦笑しながらもフィリックスはフィリアの話し相手を務めた。


同時に、遭難した船があるかどうか、

奴隷船の所有者に問い合わせる等の処置も併せて行ったが、

遭難したという報告も、名乗り出る奴隷商人も現れなかった。


止むを得ず、奴隷として王宮に置こうか、という話になったが、

フィリックスが戯れに歌と踊りをさせてみたところ、

これが今までに見聞きした事がないくらい上手であった。


一度、それを王(フィリックスの祖父)に見せてやったところ、

「まさに三国一の踊り手である」

と誉めそやり、貴賓の集まる席では、フィリアを必ず召し出すようになった。


そうして、フィリアは奴隷ではなく、専属の踊り子として扱われ、

王宮の一室に部屋を与えられた。


踊り子として認知され、

毎日のようにフィリアとフィリックスが会っている、という事実は

「フィリアは殿下の寵妃」

という認識が宮廷雀の間で広まっていった。


だが、フィリックスとフィリアの間には、未だ肉体関係が無かった。


フィリアはセックスについて無知であったし、

フィリックスは「堅物」と言われるほど女性関係は無彩色だった。


それが王と執事の持つ共通の「心の種」であった。


「ようやく女性に興味を持ったか?」と判断した王と執事は一計を案じた。


薬師に命じて、遅効性の媚薬を用意させ、フィリックスとフィリアに飲ませた。


王と薬師は「ここまで手はずを整えねばならぬとは……」と苦笑したが、

執事は黙々とその手配を取った。




そしてその夜。


フィリックスはいつものように、会わないと暴れだすフィリアと会う為に

フィリアを部屋に呼んだ。


フィリックスにとってみれば、

すでに飽きかけたルーティンワークだったが、

今夜は少し事情が変わっていた。


勃然と軀が火照ってきたのだった。


えもいえぬ感覚。


不良とは言えぬ体調。


何かあれば「何かが暴れだす」という予感。


それらに戸惑いを感じながら、フィリアと話に興じていた。


(落ち着かないな)


そう思っていたフィリックスだったが、

フィリックスの鼻腔に入ってきたフィリアの「匂い」がそれを加速させた。


背筋を駆け抜ける快感。

血液が沸騰したかのように熱くなった軀。

吼え猛たくなる勢い。


それらを必死に押さえつけていたが、

フィリアがフィリックスに抱きついた瞬間……。


それは破られた。


フィリックスはフィリアをソファに押し倒し、

常に無い乱暴さでフィリアの服を破り、フィリアの豊満な胸に顔を押し付けた。


―――ドクン。


フィリアは、一瞬、何が起こったのか理解できなかった。


しかし、過去に感じたことのある感覚を思い出した。


「あの時」


「男の裸をさすった時」


「感じた快感」


フィリアの感じた快感。

それが背筋を駆け抜けて、頭に到達した瞬間に白くスパークした。


「フィ……リックス……様ぁっ!!」


フィリックスはその声に反応したのか、

フィリアの服を全て破り捨て、フィリアに挑みかかった。


;●●●ここまで書き終わり●●●

;5/18 6:15

;続き@人魚姫4 @wrote on 05月21日 06時43分09秒

;続きの続き@人魚姫5 @wrote on 05月24日 13時50分46秒

;続きの続き@人魚姫6 @wrote on 05月24日 14時20分42秒

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今回は2時間で8.9KBですか。


1章(?)は3時間20分で13KB。

2章(?)は2時間10分で11KB。

この3章は2時間15分で8.9KB。


実は、これ書いている時に10分ほどメシ食ってたんで、それは差し引く必要があるんですけどね。メシっつってもお菓子(ポテトチップス)なんですが(笑)
あと、微妙に手を抜いたりしてるんですよね、何気に。
その辺はちょっと悔いというか、そんなものもあります。
どういう書き回しにしようか悩んだのが……ねぇ(^^;


ああ、ちなみに書いておきますが、自分が大人のおもちゃ(ぶっちゃけここでは媚薬)を使ったことあるかどうかは聞かない方向性で。
媚薬? 使ったことあるかもネ~(; ̄∀ ̄)y-~~」とリアル世界では言ってますが(っつっても1回しか聞かれた事ないケド)
まぁ世の中意外に広くて、普通のと普通じゃないのといろエロありますからなぁ(  )y-~~


ちなみに、3.x章は色情(イロ)に溺れた2人を、4章は政略結婚編(ここで選択分岐が入るかな?)、5章でファイナル(裁判編みたいなの)になるカモ。
3.x章は書かずに、4章では童話にあるように「王子様が結婚しますた」、5章では童話の「人魚姫が泡になって消えました」みたいな感じになります。
まぁダークシナリオ好きな自分ですので、童話のようなお話には絶対安全確実にならないですけど


あと、誤解無きように書いておきますが、人魚姫のお話は結構沢山あります。
古本屋で見つけた内容だけでも、4種類あります。童話・戯曲など。
全部が全部、人魚姫は王子様を殺せずに泡になって消えました、という終局ですけど。


え、自分はどうするかって?


若くて可愛いねーちゃんが死ぬより、ヲトコが死んだ方がいいだろ、普通の男だったら(極悪)

夢を壊す話だけどなヘ(゜∀゜ヘ)アヒャ

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