えろげのシステム雑考
えろげではテキスト系アドベンチャーゲームが主流です。
テキスト系アドベンチャーゲームというのは、皆さんが子供の頃に読んだ事ある絵本をゲーム化したもの、と言えます。絵本とえろげを結びつけるのは微妙に夢を壊す話で申し訳ないんですが(^^;
他には、様々な能力(?)……まぁえろげなんで下半身ネタ系の能力(従順度とか快楽度とか)を上げる数値形シミュレーションゲーム、ナチュラルに脱衣麻雀(脱衣というかヤっちゃう)、稀にタクティカル・シミュレーションゲームとかがありますが、まぁぱっと見9割方がテキスト系アドベンチャーゲームが主流ですね。
AVや官能小説と違って、えろげはエロ漫画と同様ビジュアル的なものを重要視せざる得ませんから、まぁ時代の趨勢、といったら大仰ですが、受け手の欲望を忠実に再現できるのが、絵本に似たテキスト系アドベンチャーゲームが主流といえるでしょう。
……とまぁ簡単にえろげの主流なシステム(微妙に自分の好みも含んでるケド)を上げましたが、
ポルノ要素も含み、かつ、ゲーム要素も含んでいるな、と感心するゲームが2つあります。
「魔薬」というゲームと、「12人の女教師」というゲームです。
先ほど感心する、と書きましたが、厳密に言うと、
単純明快な「抜きゲー」としては、上記した2つは秀逸なえろげになります。
Exeファイルのタイムスタンプを見ますと、
「魔薬」は1998年、「12人の女教師」は2003年とありますので、
「魔薬」は7年、「12人の女教師」は2年と少し前に発売された事になります。
「魔薬」の方はデータが無いので分かりませんが、「12人の女教師」はそれほど販売本数が伸びなかったようですし(PC-News参照)、
どちらにせよ、今現在ではそれほど話題になるようなえろげではありません。
自分がこの2つのゲームを評価する理由ですが、一般的なえろげと異なり、非常に分かりやすいゲーム性を持っているからです。
一般的なえろげ(テキスト系アドベンチャーゲーム)では、
1.プロローグ
2.共通シナリオ(選択分岐)
3.個別ヒロインシナリオ
4.えろえろシーン
5.エンディング
という流れを持っていますが、
「魔薬」「12人の女教師」は一般的なえろげと一線を画しています。
簡単に両者のゲームシステムの特徴をあげれば、
1.プロローグ
2.ヒロイン選択画面
3.個別ヒロインシナリオ
4.えろえろシーン
5.エンディング
と、2.の部分のみが違っています。たかが1箇所ですが、
一般的なえろげは「共通シナリオ」、
「魔薬」「12人の女教師」は「ヒロイン選択画面」
という違いがあります。
一般的なえろげでは、概ね各ヒロインシナリオに進む為のフラグを「共通シナリオ」で分けますが、
「魔薬」「12人の女教師」では、選択肢ではなく、「オレはこのヒロインとヤる!」と最初から選択させるわけです。
たかがそれだけか、と言われるかもしれませんが、これには大きなメリットがあります。
●同じシナリオを2度以上読まなくて済む
という事です。
先ほども書きましたが、一般的なえろげでは最初に共通シナリオ(登場人物の紹介を兼ねている)が存在します。
共通シナリオは個別ヒロインシナリオの分岐を兼ねていますから、ヲトコの欲望を満たす(CG・えっちシーン)には、共通シナリオを何度も読まなければ(must be)なりません。
共通シナリオというのは、面白い内容(会話分など)であれば、まぁ2回・3回までは耐えられますが、それ以上は冗談抜きで苦痛になります。
特に「オレはこのヒロインシナリオに逝きたいんじゃぁぁ┌(|||`□´|||)┐」と悶えようが吼えようが、選択肢を間違えればそのヒロインシナリオに逝けないというもどかしさのうえ、同じシナリオを読まなければならない、というのは、少しユーザフレンドリではありませんね。
(この何度も読まなければならない、という負担を軽減させるために、メッセージスキップ機能が重要になってくる)
そういう「同じシナリオを読む必要が無い」というのは、えろげでは画期的なメリットといえるでしょう。
とはいえ、これには少なからず批判が出るでしょう。あまりにも「簡単すぎる」からです。
対象のヒロインのえっちシーンを見るため、と割り切れば済みますが、
手間と時間のかかる「選択肢の総当り」というテキスト系アドベンチャーゲームの「基本スタイル」を考えれば、
この「手間の掛からなさ」は、「一つのメリット」と見るユーザもいるというのは充分以上に推察されます。
ゲームをプレイして思ったのですが、これはゲームを作る側にもメリットがあると推察されます。
初顔合わせの時はともかく、2度目以降のシナリオの始まりの「時間的・場所的・シチュエーション」を自由にできる、という事です。
1回目の初顔合わせ、2回目は1回目の1週間後、3回目は2回目の翌日、といったタイムスケジューリング、
1回目は学校、2回目は街で偶然に、3回目はデート、といった場所・ヒロインとの関係(シチュエーション)
など、かなりの幅で柔軟性に長けています。
突き詰めて書くと、「そのヒロインとの関係」だけを考えればいいだけで、他ヒロインと同軸に考える必要がないからです。
シナリオの書き出しで「彼女と会って1週間後~」なんて書けば、それだけで済みますからね。あと、「彼女から電話がかかってきた~」なんて始まりでもいいわけですし。
シナリオの終了も、えっちシーン終了後にそのままフェードアウトしてシナリオ終了とする、という手法も可能です。
あと、ヒロインAにヒロインBを紹介してもらう、などいうシチュエーションにも使えます。
「ヒロインBの攻略可能フラグはヒロインAの2回目シナリオクリア後」なんていう、選択肢どころかシナリオクリアで自動で立てたりするのも可能なわけです。
応用でヒロインAとヒロインBとえっちした後で、それをかぎつけたヒロインCが攻略可能となる、というシチュエーション(シナリオ)も可能となりますね。
「12人の女教師」では、12人の女教師全員のえっちシーンに入ったら「ハーレムエンド」になる、というのが好例と言えるでしょう。
……と、「魔薬」「12人の女教師」のシステムを誉めてきたワケですが、これは「CLANNAD」とか「Air」、「加奈~いもうと~」といったシナリオ重視には合わないシステムでしょう。
ガチガチにシステマチックに走っていますからね。ゲームプレイを1本のストーリーとして扱うえろげであれば、
「魔薬」「12人の女教師」のシステムは少しどころか完全に不向きと言えます。
そういった意味では、「魔薬」「12人の女教師」のシステムは
『オレはこのヒロインとヤりたい・墜としたい・調教したい』
という直線的なえろげ、ぶっちゃけて言えば「抜きゲー」に相応しいシステムと言えるでしょう。
「魔薬」はライトなセックスフレンドを、「12人の女教師」は女性を奴隷(所謂セックススレイブ)にする、というゲーム内容ですので、割と欲望に直線的ですね。
だからこそ、システムにマッチしたえろげと言えるのですが。
あと、もう一つ重要な事に、同システムで別タイトルを比較的簡単に作れる、というものです。
フラグ管理自体をシナリオ終了後に行いますので、デバッグもそれほど難しくはありません。
シナリオ終了後に「このシナリオに進行可能」というだけですからね。
「魔薬」の場合は、シナリオ中の選択分岐で「次にシナリオに進行できるか否か」という判断をしていますが、
まぁもう一度再プレイすれば新しいシナリオに進行可能となりますから、どちらにせよ、大した手間ではありませんね。
そんなワケで、数を作って市場に放出するタイトルを増やしたい(ミドルプライスでエロCGの量で勝負する、という理由など)、というのであれば、このシステムは有効かと思います。
もっとも、抜きゲーだけに相応しいシステム、というわけではありませんが、ね。
どちらにせよ、ショートストーリーの積み重ねで成立させるゲームには相応しいシステムといえるでしょう。
しかし、「魔薬」が未だデータに残ってるとは思わなかったな……「12人の女教師」は再インストールしたっちゅーのに……
(ちなみに、「魔薬」は70MBも容量を喰わないえろげでした。さすがに20世紀のゲームではある(^^;)