孤独が好きな寂しがりやBlog -4ページ目

えろげの経営戦略みたいなの2

ソースは例によってPC-News様。


Erogos様というブランドがあって、フェチズムに拘ったシリーズがある。



2004年3月26日に初タイトルをリリースして以降、8月27日までに6タイトルをリリースしている。

所謂(いわゆる)ロープライス(3,990円)商品だが、

5ヶ月の間、集中的に6タイトルをリリース。

そして2005年3月25日に再びタイトル(らぶ★フェチ サド編)をリリース。


タイトルからフェチズムに拘った作りのようだが、計画性溢れるリリースである。


タイトル 発売日 連続ランキング入り(50位) price
らぶ★フェチ 手コキ編 2004/3/26発売 4期 2,940円
らぶ★フェチ パイズリ編 2004/5/14発売 3期 3,990円
らぶ★フェチ 覗き・オナニー編~ 2004/5/28発売 2期 3,990円
らぶ★フェチ 脚フェチ・足コキ編 2004/6/25発売 3期 3,990円
らぶ★フェチ フェラチオ編 2004/7/30発売 4期 3,990円
らぶ★フェチ 三者面談 2004/8/27発売 2期 3,990円
らぶ★フェチ サド編 2005/3/25発売 1期
ただし2期目以降ランキングはまだ未発表
3,990円


6タイトルの平均出荷本数を5000本と仮定しても、合計30000本。50%が売り上げと仮定(死ヌる程のどんぶり勘定だが)すれば、6000万。

人件費(人/月)を1ヶ月75万、スタッフ7人で6300万の出費、諸経費で1000万と(どんぶり勘定ここに極まれりだが)しても、総出費7300万は赤字額1300万。


とはいえ、これはいずれも最低最悪の計算なので、製造費コスト(人件費コスト)、販売本数売り上げを考えれば、

・人件費コスト(人/月)を60万以下、

・販売本数の伸び(総出荷数36500本以上/平均出荷本数6100本以上)

上記2点(他にもいろいろと要素があるが単純化のため無視)いずれかをクリアすれば、立派に黒字経営が可能といえる。



他のメーカ・ブランドはタイトルが出来次第リリースする、という(悪い言い方をすれば)行き当たりばったりではあるが、Erogos様は(2タイトル目を除いて)毎月1タイトルをリリースしている(3月~8月までの間)。

4月はリリースしていないが、5月に2タイトルをリリースしているのを考えれば、制作かROM焼きに遅れたかのいずれかと推察される(4月にはビッグタイトル(CLANNAD)が発売されている)が、それはたいした事ではないか。


そして、今年も3月に今年1タイトル目をリリースしている。

おそらく、今年も同程度、あるいはそれ以上のタイトルをリリースするだろう。

(半年間の休眠(?)でデータ解析・ユーザの性的嗜好を研究、そして制作に入っているのは疑いようがない)



ここまで安定経営・計画販売に志向したメーカ・ブランドは他に見当たらない。




確かに、人間(男性)の性的嗜好は驚くほど多岐に渡る。

それらの中で比較的メジャーな嗜好をピックアップして、ターゲットユーザ(潜在的な顧客層)を定め、

その中でロープライス・性的嗜好の合致で財布の紐を緩くする。


コアユーザを獲得する、というのではなく、広く浅くライトユーザを掴む、という手法にあたる。

最近のメーカ・ブランドとは少し考え方が違うと言えよう。



ただ、少し考えにくいのが、フェチズムに拘り、ロープライスで販売しているにも関わらず、ロングセラー品が無い、という点。

確かに、フェチズムに拘っている、という事からブランドイメージというのは露出しにくい。

また、ロープライス作品という事から(ハイプライス作品と比較して)内容が薄い、という事情もあるだろう。


しかし、ブランドイメージやコアユーザを(より)獲得しない手法にも関わらず、ロングセラーが少ない、というのはどういう事だろう。

データに現れていないだけか、出荷していないだけか。

本来なら、TYPE-MOON様の「Fate/stay night 通常版」以上にロングセラーが見込めるシリーズ(?)なのだが。


また、バルクセールのような手法を取っていないのも、少し疑問に思う。

某メーカ傘下のブランドの6作品をまとめて売り出したタイトルがあったが(名称は忘れた)、それと同じ手法は取らないのだろうか。

ゲームシステム(スクリプトプレイヤー)は同一のものだろうから、比較的簡単に作れると思うのだが(売れるかどうかは別だけど)



Erogos様が切り拓いたといえるが、フェチズム志向のタイトルは(販売本数には反映されないけれども)

一定層のユーザが「買い求める商品」、正確には購買意欲を促進するタイトルであるのを証明している。

粗製濫造されると困るけれども、

(ターゲットユーザから見た)費用対効果以上のタイトルをリリースできれば、隔月刊・季刊ベースで安定出荷が見込めるシリーズと言えよう。

セガのカードゲーム

セガから出ている対戦メインのゲームが2つほどあります。

「三国志大戦」と「Champion Footboll」。

両方やってます。


やってる、っつったってそんなにやりこんでるワケじゃないんですがね。


まずは「Champion Footboll」から。



さすがにゲーセンの雄ですね、セガ。

コアユーザ多くてウザ過ぎ。


何がウザいかっていうと、まず対戦相手。

いや、対戦相手がウザいんじゃなくて、人間と対戦する、という事がウザいのよ


何故ウザいかっていうと、ナチュラルに勝てない。

今まで10数試合やったけど、全部負けた。

まず、前半に2点とか3点取られて、ああこりゃ勝てん、って諦めモード。

その間取った得点が(10数試合合計で)2点あるかな? ってな具合。


チームの能力値が6角形(円グラフのようなもの)で表示されるんだけど、負けて「どれくらいの能力値を持っているのか」確認したら目を疑うよ。

円と仮定して書くと、おいらのチーム能力値の半径が1とすると、相手チームの能力値は5(MAXで5倍くらい@面積なら5の2乗で25くらい)とか平気でゴロゴロしてる。

っつか、今まで対戦した相手チームの95%くらいが能力値MAXというのはどういう事だろう。


当然、始めたばかりのおいらはカードも乏しい。

冗談抜きで勝てるワケ無いって



だって対戦やると、冗談抜きでデータ(?)が凄い事になる。

1試合平均(概算)で0対5くらい。

ボール支配率も自チームが30%程度とそれサッカーじゃないだろ、って思う。もしくは大学生対プロって感じ。

ヒドい時は、試合結果0-7、ボール支配率21%。

野球かこの試合結果わ(怒)



明らかに初心者お断りなゲームを作りましたなぁ、セガ様。

だからおいらは、深夜にやってる。

誰も参加者がいないな=CPUと対戦できる(こちらだと5割くらいで勝てる(引き分けが2割くらいあるかな?))

という発想。

楽しいからゲームやるんであって、腹立つ展開(大量失点)だったら5試合1000円@40分くらい? もお金は使えません。


セガはそこんとこ分かっているんだろうか?



ちなみに、そんな色々と言いたい事がある「Champion Footboll」ですが、これからもやり続けます。

だって「カズ(三浦和良選手)のレアカード」をげっとしたから。


やっぱね、おいらの世代から見たら、カズは「生きた伝説」であって「現人神」って言っても過言じゃない存在なのよ。

Jリーグが発足した頃からサッカーを見てたせいか、そういう「刷り込み」がされてる。

(蛇足だけど、だからおいらは岡田監督@横浜F・マリノスは蛇蠍のごとく嫌っている)


そういう刷り込みがあるからだろうね、いかに海外で活躍してる選手がいようと「カズを超える選手はいない」と思ってる。

(あくまで日本選手で。引退後に来日・選手復帰したジーコ現日本監督や、サムライと言えるラモスも同じくらい尊敬している)

数年前に中田英寿選手が活躍していようともそういう「意識」があったし、これからもその意識を持ち続けるだろうね。



そういった意味では(偶然の采配だけど)、いいタイミングでカズのカードをげっとしたね。

対人戦でボロベロに負かされて筐体蹴っ飛ばして(実話)「二度とやらねぇ」と思ったらカズカードげっとだったから。


それまで右MFのレギュラー張ってた中田英寿(カード)に向かって

オレ様監督「ああ、君クビにするわ」


オレ様監督「でも、次の試合に参加登録してるから引退試合だね。

        ホントは使いたくないけど、スタメンに入れてあげる。

        ただしキーパーでヘ(゜∀゜ヘ)アヒャ

        オレが監督だ文句あるか(゜д゜#)ゴルァ」


っつってリアルにやったら選手マジギレマスコミに叩かれモード突入オーナーから解雇通告シナリオ突入なんて既知外沙汰を(ゲームだから)キーパーで使いました( ̄∀ ̄A``


でもその試合は完全に押せ押せでキーパーの出番無しで終了(´・д・`)ツマンネーノ

(3-0でCPUに勝ち)


江戸の敵を長崎で何とやら、ですかなぁ(違)




ちなみに、カズは現在5試合で2得点(チーム全体では10点くらい取ってる)。

まぁトップ下なんでそんなもんでしょう。


あ、ちなみに自分のフォーメーション。

3-3-4でFW4人もいる既知外フォーメーションです。

両サイドFWがウィング張っているかに見えるフォーメーションですが、両方からサイドアタック可能にしてるために、事実上のMFですね(実際にFW要員を使ってないし)。言うなれば「なんちゃってFW」。

そういった意味では実質3-5-2なんですが……まぁ前に出すぎてるために3-3-4になってマス( ̄∀ ̄A``




疲れたんで三国志大戦は後日。

(可愛い)女キャラげっと出来たらネタになるし(笑)

某古典の読書

さて、問題です。

いや、問題じゃなくて、問題みたいなもの。


自宅PCに以下の文字を登録しました。

共通点は何でしょう。

ただしエロゲー関係ではありません(爆)



帚木 ははきぎ
若紫 わかむらさき
末摘花 すえつむはな
紅葉賀 もみじのが
賢木 さかき
花散里 はなちるさと
澪標 みおつくし
蓬生 よもぎう
関屋 せきや
絵合 えあわせ
薄雲 うすぐも
玉鬘 たまかずら
常夏 とこなつ
野分 のわき
行幸 みゆき
藤袴 ふじばかま
真木柱 まきばしら
梅枝 うめがえ
藤裏葉 ふじのうらば
横笛 よこぶえ
御法 みのり
匂兵部卿 におうひょうぶきょう
紅梅 こうばい
竹河 たけかわ
橋姫 はしひめ
椎本 しいがもと
総角 あげまき
早蕨 さわらび
宿木 やどりぎ
東屋 あずまや
浮舟 うきふね
手習 てならい
夢浮橋 ゆめのうきばし


答えは書きません。リンク(新しいウィンドウ)書いとくからGoogleで検索してみろや お前ら(笑)




ようやっと読み終わりました。

っつか「ざっと読み」はすでに終わってたのですが、ある程度の内容を把握する「読書」という観点ではようやっと、という具合です。



……疲 れ ま し た。



当たり前だわな。

現代語訳読むのもパワーいるのに、古文文体でも読んだからなぁ。

最初の1巻(3巻構成@古文文体)の半分まで行ったところで飽きちゃって、それ以降はホント苦行って感じ。

初めて読書で苦痛を感じました。


何気に面白いんですけどね、源氏物語って。


夜這いに失敗したけど別の女性(継娘)とヤっちゃって(・∀・)ウマーだったり、微妙にロリコンが多かったりとか。

あと、高校のときに聞いた記憶があった「雲隠」って欠本(現在に内容が残っていない)だったんだなぁ、と思い出したり。

(これは概ね「紫式部@作者がタレて書かなかったんだろう」の見解で一致している)

あと、「柏木」「初音」という巻名が合って痕キタ━━━(゜∀゜)━━━とか言ってみたり、

まじめに「この時代(平安時代)って怨霊・物の怪ネタ多いなぁ」とか思ってみたり。


そういった意味ではギャグ小説?

……いや、内容的にギャグ要素はどこにもないんですけど、妙な解釈をすればギャグにもなるかな~なんて思ってみたり( ̄∀ ̄A``

でもまぁ、素直な意味でエロゲーのネタにはなりそうな気がするなぁ(ざっと読んだだけでは難しいと思うけど。分量が死ヌる程多いし)。



ちなみに、源氏物語は整理して調べようとすると㌧でもないくらい時間がかかります。

ええ、自分もちょっと整理してみようかな、と思って自宅近くのデニ屋(Denny’s)@ファミレスに逝って腰を落ち着けて本を広げたんですが、10分で「難しいかな?」と思うようになって、30分後にはやめました。分量多杉

結局高いメシ食って帰っちゃいました(ToT)


源氏物語に関しては、Webでも本でも整理したモノがあるので、そちらを参照した方が早い、という事で。

…無駄にお金突っ込んだ、ってオチ?

江戸時代の女性@【ザレキネタ】

久々に風俗っぽいの。

あ、風俗っつってもえちぃ方じゃないので念のため。



江戸時代の女性ですが、概して早婚だった、と思われがちですが、平和になったためか戦国時代よりかなり上になっています。

日本の農村での平均結婚年齢は18歳~24歳前後、町民は17歳~22歳程度と若干農村部が遅めですね。

これは娘さんもちゃんとした労働力と見なされていたから、という考え方が一般的のようです。

有名な言葉ですが、

『娘十八番茶も出花』と言いますので、結婚適齢期、という見地に立つとやはり18歳が適齢期、と見なされていたようです。


あ、一応書いておきますが、江戸時代は「数え年」で、今の「満年齢」とは少し違います。

(数年前の)競馬をやっている方はご存知ですが、生まれた年が「1歳」、で正月を越したら「2歳」…と数えていきますので、1,2歳くらい年が下になります。

ですので、江戸時代の女性の平均結婚年齢は17歳~23歳(農村部)、16歳~21歳(町)といった具合になりますか。

現在の感覚で言うなら、高校を卒業するくらいになったら結婚するかも、言った具合でしょうか。


自分の身の回りでちょっと感じたのですが、江戸時代は20歳を超えたから行かず後家、なんて考え方ではないですね。



女性の呼称ですが、

概ね16歳くらいまでは「娘」、

20歳くらいまでが「新造(しんぞう)」(ごしんぞさま、なんて時代劇でたまに出てきますね)、

20歳を超えて「年増」、

25歳くらいまでが「中年増」、

30歳くらいになると「大年増」、それ以後は…ちょっと手元の資料には無いので分かりません。


あ、一応書いておきますが、別に女性に喧嘩売っているわけじゃありませんので念のため( ̄∀ ̄A``アセアセ


お嫁さんの呼称も様々です。

「おかみさん」「お内儀」などは丁寧語になるんでしょうか。

「おっかあ」「嬶(かかぁ)」「家内」が庶民が使うような言葉ですね。とくに「嬶」なんかそれっぽくていい雰囲気です(笑)

武家だと、今でも使っている「奥様」があります。他にも、「御内室」とも言ったりしています。


ちなみに、武家でも特殊な呼称もありまして、将軍の妻は「御台所(みだいどころ)」、大名だと「御簾中(ごれんじゅう)」といいます。このあたりになるとちょっと複雑ですね。




お見合い、なんていうのも江戸時代に出来ました。

これがまた面白いシステム(?)でして、まずは川柳の紹介から。


瓜実を 見せて南瓜と 取り替ゆる


これだけじゃ分かりにくいので、平仮名だけで。



うりざねを みせてかぼちゃと とりかゆる



これでピン、ときた方。あくどいですなぁ(悪商人の口調で)


ぶっちゃけていうと、どうせ顔なんぞ見ないんだから、ってんで「替え玉見合い」がリアルに存在したとか。

今と違って(今も若干あるのかな?)家同士の結び付きを強調するのが結婚という儀式でもありましたから、前もって(隠密っぽく(笑))相手の顔を確認したりするのが日常茶飯事(?)だったとも。


現代だったら即効でJAROにtelされますね(笑)


しかし江戸時代の中の人も大変だ(爆)

プロ野球ねた

ロッテ
38試合28勝10敗(.737)
チーム防御率2.38


…なんだその防御率は?
まぢあり得ない…



中日
35試合21勝14敗(.600)



ちなみに交流戦はパに1勝5敗。
何っつーの、敵を知り己を知れば百戦危うからず、というけれども、ちゃんと相手を研究して勝っている、ということだろうか?
そしたら本当に落合監督って名監督なのかもしれん…。



楽天
38試合8勝30敗(.211)


5位オリックスとのゲーム差、7.5。
1位ロッテとのゲーム差、20.0。


すでに消化試合モード…ですかね?




楽天:一場 靖弘
5試合登板
0勝5敗@防御率5.94


…いや、そこまで悪いとは…っつか防御率はそんなモンだと思ってたが。




西武:松坂 大輔
8試合登板
3勝4敗@防御率1.77


この防御率なら全部勝てるだろ、普通は…。
ちなみに、自責点13。失点18


まさか来年メジャーに逝くからってチームメイトが足引っ張ってるってワケじゃねーよな…。

人魚姫2

;人魚姫1 @前章@wrote on 05月10日 04時56分20秒

;●●●書き始め●●●

;5/12 7:10


それから幾日後。


フィリアはフィリックスに会いに行こうとする度に姉に止められていた。


必ず通らねばならない水路に、姉たちが日ごと待ち受けており、

どうしても会いに行く事が出来ない。


手を変え日を変え時間を変え。


何度か水路に赴いたが、

時間をずらしても、2、3日空けても、

誰かがそこにいて、止められた。


―――もどかしい。


フィリアは思い余って、祖母に話してみる事にした。


「フィリア、あなたが人間に会いたいと思っているのは分かっています」


「お祖母様(おばあさま)…」


「フィリアが会いに行くのを止めているのは、妾(わたし)です」


「え…?」


「フィリアが人間の男に会いに行くのを止めるにはどうしたらいいか、

 そう、あなたの姉たちが揃って相談に来たの」


「どうして、お祖母様…」


「フィリア、あなたが人間の男に恋焦がれているのは分かります。

 けれども、どうにもならないのですよ」


「それは……」


フィリアは唇を噛み締める。


それは事実。

自分は人ならぬ身。


自分は人間の世界では生きていけぬ身体。

人間も、自分の住まう世界では生きていけぬ身体。


まさに、住む世界が違う住人。


それが分かっているからこそ、

その事実に目を背け、会いたいと想っている。


「フィリア、あなた、人間の世界を知っていて?」


「え…人間の世界…?」


「ええ、人間の世界を」


「そんなの…」


「知らないでしょう」


ため息をつきながら、祖母は続けた。


「人間というのは、

 自分のためなら他人を殺めて(あやめて)でも、

 という生き物なのですよ」


「殺めて…って…」


「その言葉どおりよ。

 その前に確認しますけれど、

 あなたは人間の男に恋焦がれていますね?」


「…はい」


「では、別の…人間の女性が、

 あなたが恋している男性に恋をしてしまったら、という事を考えてみて」


「え…?」


「だから」


そこで一息の区切りを入れる祖母。

その眼(まなこ)はフィリアの瞳を捉えたまま、離さない。


「フィリアの愛した男性に、他の女性も愛してしまったら、という事」


「そ、それは…男性が拒否するべきでは無いでしょうか?」


「そうね、普通なら」


「普通なら…?」


「中には、こう考える人もいる。

 『フィリアという女性がいなくなれば、男性は私を愛してくれるはず』

 と、ね」


一瞬、怪訝な顔をするフィリア。


しかし、それが意図するところを理解した瞬間、

フィリアの目が大きく開かれる。


「フィリア…これがどういう事か分かりますね」


「……はい」


「答えてみて」


「…私がいなくなれば…殺されてしまえば…

 フィリックスは別の女性を…」


「そう。その通り。そう考える女性がいるのが、人間ですよ」


「……。」


「ところで、フィリックス、っていうのね、その人間の男性は」


「え、はい、そうです」


「フィリックスが私たちと同じだったら良かったのにね。

 それだったら、私たちも喜んでフィリアを祝福したでしょうに」


「それは…」


「もっとも、一番下の妹が先に伴侶を持ったら、

 あなたの姉さんたちが嫉妬するかもしれないけれど」


祖母は軽く微笑みを浮かべた。


「でもね、フィリア。あなたは一つ忘れている事がある」


「何を…でしょうか?」


「私たちが美しい、と思っている魚の尻尾ですが、

 人間たちは醜いもの、と思っているの」


「そ、そうなん…ですか?」


「それにね、魚の尻尾がある限り、人間の世界…陸上を歩く事は出来ない。

 醜いもの、と考えている上に、歩く事すら出来ない、というのでは、

 人間の世界では生きていけない」


「……。」


「そして、あなたも分かっているように、

 人間は私たちの世界に住まう事が出来ない。

 何故なら、人間は海の中で潜って生き続けるのが出来ない」


「……。」


「だからね、フィリア。

 あなたはあなたに相応しくない…別の世界の住人に恋してしまったの。

 忘れなさい、とは言わない。諦めなさい」


「お祖母様、でも、私…」


手を上げてフィリアを制する祖母。


「フィリア。

 あなたが人間になるか、フィリックス殿がセイレーンになるか。

 これが為されない限り、あなたの恋は成就されない」


「お祖母様…」


「つらいでしょう、フィリア。

 でもね、こればっかりは、私でもどうしようもないの」


「……。」


「私の可愛いフィリア。

 私は、あなたが幸せになれるのなら、それをかなえてあげたい。

 でも、どうしようもないの」


祖母はフィリアを抱きしめて、もう一度言った。


「私の可愛いフィリア。

 フィリックス殿が私たちと同じだったら良かったのにね。

 でも…どうにもならないのよ…それを分かってちょうだい…」





フィリアの想いは、その当日のみ、収まった。


しかし、寝て、起きてからは、やはりその想いは留まらなくなっていた。


『人間は私たちの世界に住まう事が出来ない。

 何故なら、人間は海の中で潜って生き続けるのが出来ない』


『あなたが人間になるか、フィリックス殿がセイレーンになるか。

 これが為されない限り、あなたの恋は成就されない』


祖母の言葉が頭に響く。


「…私が人間になったら?」


全て解決する。


一瞬、そう考えた。


しかし。


人間になる、という事。

それはセイレーンとしての自分を捨てる事。


そして、それは父や母、姉や祖母と会えなくなる。


「一体、どうしたら…」


その日、フィリアはどこにも出かけなかった。





フィリアは思考の渦に巻き込まれていた。


自分が人間になること。


フィリックスがセイレーンになること。


実現可能かどうかはともかく、

そうなった場合の事をひたすら考えていた。


姉や母、父が見舞いに来ても、


「会いたくない。寝ませて(やすませて)」

と、ひたすらに自閉していた。


祖母は来なかった。


フィリアには、理由は分からなかったが、

何となく、来ないものと想っていた。


昨日、今日、明日。


思考の渦に巻き込まれて何日か過ぎた頃。


フィリアは思い立ったように、何処かへ出かけた。


不安な目と覚束ぬ足取りが、心の乱れようを表していた。


しかし、目的の場所に近づくにつれ、

不安な目には希望が、覚束ぬ足取りには意思が宿ったかのように

しっかりとしていった。


向かう先は、禁断の場所とされている魔女の森。


禁断であるが故に、叶えられるかもしれない。


フィリアは、「決して近づいてはならない」と

幼少の頃より教えられていた魔女の森の入り口に着いた。


魔女の森―――

正確には藪と言った方がいいだろう。


動物のように蠢く(うごめく)植物、

蚯蚓(みみず)のように気色悪い海蛇。

一度絡みついたら二度と離す事はないであろう生き物。


犠牲となったものは数知れず。


白骨化した死体、船の残骸、船の櫂。

おどろおどろしい風景が見える範囲全てにある。


そして、森の中にある、ぬかるみで覆われた広場の中央。


骨―――人骨・動物問わず―――で出来た1軒の家があった。


フィリアは歯を食いしばって、ドアを叩いた。


返答は無かった。

しかし、急にドアが開き、押し込められる形でフィリアは屋内に入った。


部屋の中央には、魔女と思しき老婆が樽の中をかき混ぜており、

急な訪問者であるフィリアを見て、にたり、と不気味に笑った。


「お前さんが何でここに来たかは分かっているよ」


老婆はかき混ぜるのを中断し、

部屋の端にあるソファに座るようフィリアを促した。


部屋の中は、まさに魔女の部屋。


男性の精液、女性の月経の血、胎児、マンドラゴラの葉や根。

その他、意味不明のもの。

それらがビンの中に収められている。


「さて、お前さんがここに来るのは分かっていたが、

 濃(わし)はお前さんの名前までは知らん」

 来る事までは分かってても、訪問者の名前までわかるほど

 千里眼を持っているわけではないからの」


老婆は自分の分だけ用意したお茶

―――とはいっても、濃すぎる緑色したどろりとした飲み物―――

を飲みながら言った。


「あ、そうそう。お茶を出すつもりは無いからの。

 濃の口に合っても、お前さんに会うお茶はここにないで。

 悪く思わないどくれ」


それに関してはフィリアは答えず、自分の名前を明かした。


「私は、フィリアと言います」


「そうかえ。

 で、そのフィリアさんが、濃のところに来た理由は、

 恋焦がれる人間の男と共に生きる方法を探りに来たのじゃろう?」


「……。」


フィリアは返答せず、うなずいたのみ。


「で、濃がその方法を知らん、と言ったらどうする?」


「それは…」


「ふぉっふぉっ、それは冗談じゃ」


「では…!」


「まぁ、そう急くではない。

 あれは辛いものじゃ」


「辛い…とは?」


「まず、結論から言うとな、人間になる薬はある。

 だが、人間の足を持つだけで、休まる事無く、その足に鈍い痛みと

 歩くたびに刺す痛みが襲ってくる。なまなかのものでは無いぞえ」


「そ、それでも構いません!」


「だから、そう急くで無い、と言うとる。

 じゃがの、お前さんは人間になって幸せになれるかの?」


「どういう…意味ですか?」


「人間の男に恋焦がれて、人間になった者がどのようになるか、

 というのを考えてみてはどうかね?」


「仰る意味がわかりませんが…」


「まぁ、説明不足じゃったの。

 歳を取るとこうなっていかん」


老婆は茶をすすりながら言った。


「では、単刀直入に言おう。

 お前さんと同じ思いをし、人間になったセイレーンの成れの果てが

 目の前にいる、この婆じゃと言ったらどうする?」


「な…!」


フィリアの目が大きく開かれる。


老婆はそれを眺めやりながら、遠い目をして続けた。


「悪い事は言わん。濃はこの目と耳で人間の浅ましさ、卑怯さを識った。

 その濃からの説得じゃ。

 止めておけ」


「で、でも…」


「重ねて言うが、悪い事は言わん。止めておいた方がええ。

 お前さんの気持ちは分かるが、そのような男の事は忘れた方がええ。

 そもそも、住んでいる世界が違うではないか」


フィリアは黙りこくったが、老婆の目には、

フィリアがその忠告を受け入れたとは思えなかった。


何故なら、過去の自分と同じだったから。

このような言葉で、目の前にいる少女が諦めるとは思えない。


―――じゃが、説得だけはしておくか。


老婆は、無駄とは思いつつも、フィリアを説得しようとした。

砂地に水を巻く行為とは知りながらも。






小一時間ほど経っても、フィリアは諦めようとはしなかった。

老婆も分かってはいたが、人間と共に暮らした頃の様子を語って聞かせた。


多くの事実と僅かの誇張。

そして、つかの間に訪れた幸せな日々。


老婆も語って聞かせるのに疲れた頃。


老婆も説得するのを諦めた。


「お前さんがそれほど言うのなら、お前さんの望む物をあげよう。

 しかし、条件が1つある」


「条件、ですか?」


「ああ、もし、お前さんが惚れた男が別の女と結婚したら…」


老婆の目がすぃ、と細くなる。


「その男の命を貰おう」


「な…!」


「裏切ったらの話じゃよ。

 裏切った男ならそれだけしても惜しくはあるまい?」


「それは…」


「まぁお前さんの美貌とスタイルであれば、どんな男でも夢中になるだろう。

 そもそも人間には美貌な女性はごく僅かしかおらぬで、その点は心配はしておらぬ」


老婆はお茶を注ぎ足しながら続けた。


「お前さんの恋焦がれた男のみならず、人間の男どもはお前さんに夢中になる。

 濃の薬は2本足を作るだけでなく、軽やかに踊る事も出来るものじゃて、

 どんな踊り子も敵うものではない」


「そ…それで…」


「確認じゃ。

 お前さんに薬をあげよう。

 ただし、お前さんが恋焦がれる男が別の女と結婚したら、その男の命を貰う」


「……。」


「薬の代償はそれだけじゃ。

 裏切らなかったら、お代は要らぬ。

 それで、よいかの?」


「それは大丈夫ですわ。絶対にそういう事にはなりませんから」


フィリアには、このとき「裏切る」という言葉を理解していなかった。

セイレーンの世界では互いに選んだ伴侶と寄り添い生きるのが当たり前だったから。


「さて、お前さんの考えはともかく…」


老婆は立ち上がり、一つのビンを手に取りフィリアに手渡した。


「これが、人間になる薬じゃ。

 まぁ今すぐ飲むのではなく、砂浜や川べりで飲むと良かろう。

 そうでないと、すぐに溺れてしまうからの」


「…分かりました」


「それともう一つ」


「何でしょう?」


「人間になる、という事は、泳ぎもままならぬ。

 お主の父母や姉たちと会えなくなるが…

 それでも構わぬか?」


「…覚悟…しています」


「…ならばよかろう。

 フィリアよ、お主の求めるものを求めて人間になるがよい。

 それは過去を失う事になるが、致し方あるまい」


「はい。ありがとうございます」


フィリアはその薬を持ち、魔女の森を出て行った。


老婆はソファに深く座りなおし、ため息をついた。


「さて…どうなる事やら。

 持って…数年といった所じゃろうが…」


老婆は鈍く光る水晶球を眺めやった。


そこにあるのは、何人かの若い女性のセイレーン。


「やはり…そうなるか。

 では、早速準備する…かの」


老婆は一振りの銀のナイフと幾つかのビンを手に取った。


;●●●ここまで書き終わり●●●

;5/12 9:20

; 続き@人魚姫3 @wrote on 05月19日 07時59分25秒

;続きの続き@人魚姫4 @wrote on 05月21日 06時43分09秒

;続きの続きの(以下省略)@人魚姫5 @wrote on 05月24日 13時50分46秒

;続きの続きの(以下省略)@人魚姫6 @wrote on 05月24日 14時20分42秒

/***********************


ファイルサイズは11KB。

所要時間は2時間と10分ですので、こんなもんでしょう。

スクリプト書いてないし、選択分岐も無いし。


ああ、そういえば全然えちぃくないですな(笑)。

ナチュラルな展開ですし、普通のお話ですからねぇ元ネタが。


…やっぱしベッドシーンは書くべきなのか、何故か今から悩んでいるEsLoadです(馬鹿丸出し)



ちなみに、作中にありますが、老婆が人間になった事ある云々、というのはEsLoadのオリジナルです。

アンデルセン童話にもそういった記述もありませんし、ジロドゥー作「オンディーヌ」にも同じような設定はありません。

(「オンディーヌ」は「水の精霊」の意味)


これは、なんちゅーか、フィリアが(人間になった後にも)セイレーンに戻る事もありえる、という逃げ道に近いです。

選択肢の存在するゲームであれば、そういう持っていき方もありますからね。



そういえばTRPGがらみになるのかな、そういった点を補足しておきますと、

人魚(ここではセイレーン)は300年ほど生きられる、と「アンデルセン童話」にあります。


ただし、輪廻転生といいますか、人間は輪廻の枠で生まれ変わるけど、人魚は生まれ変わらずに「海の泡となって消える」という人生(?)の終結ですね。

こういう儚さって意外に好きです、自分。


一般的…といいますか、日本語訳されたアンデルセン童話の終わり方ですと、人魚姫は海に身を投げて泡となって消える終結となっています。

が、オリジナル(日本語訳されていない原作「人魚姫」)では、泡になって空気の精になる、という展開です。

300年ほど空気の精で良い事をすれば人間と同じ不死の魂(輪廻の事でしょう)を得られるとの事。


希望がある、と言えばその通りなんでしょうが、自分から見たら物悲しい展開です。

いや、そういう展開大好き(はぁと)



あ、好きな展開といえば。


原作では、王子様じゃなくて、ものの見事に「人魚姫」が裏切るシーンも大好き(はぁと)

いや、そのあたりが人間臭くて(元は人間じゃないケド)、もぉ「ドロ沼シーンキタ━━━━(゜∀゜)━━━━」ってな感じです。

えろげで言うなら「君が望む永遠」くらいに(甘いシーンを望むユーザが感じる)痛い展開。












泥沼シーンバンザーイ!!!!


…こんなコト書いてるからオレ非モテ系なのか_| ̄|○

***********************/

えろげの経営戦略(みたいなん)

まず、PC-News様のサイト にある「全国美少女ソフト売り上げランキング」がソース、というのを前提条件に。

惜しむらくは売り上げ本数という絶対数が分かればいいんでしょうが、まぁ無料で手に入るデータなんで、そこまで言っちゃ贅沢か。


つい最近まで、PC-News様の存在を忘れてしまってた、という痛恨事を思い出し、慌ててPC-News様のサイトからランキングのデータをフラッシュメモリ@USBにぶっこぬいて検証。


ざっと見た感じでは、栄枯衰勢そのままやなぁ、という入れ替わり立ち代りの速さ。

トップだったソフトが次期(半月後)にはものの見事に新しいソフトに取って代わられて20以上もランクダウンするという目まぐるしさ。生き急ぎすぎやお前ら。



…なんて目に付きやすいところの感想はひとまず置いといて。

(ちなみに、データ転載お断り、とPC-NEWSにありましたので、転載ではなく編集してUpします)




ぱっと見た感じでは、G.J?様の「姉とボイン」というタイトルが興味を引く。

いや、えちぃ方じゃなくてランキングの方が。


定価…じゃなくて希望小売価格(税込み)が6090円とミドルプライスで8期(4ヶ月)50位以内のランキングを果たしているのがミソ。


1期目:1位

2期目:9位

3期目:23位

4期目―――雑誌休刊期なのでデータなし(3期と合同で集計)

5期目:50位

6期目:18位

7期目:38位

8期目:25位

9期目:ランク外


1期目(2004年10月後半)でトップを取って4ヶ月ほど売り上げを維持。

多分、これがゲーム制作会社の理想とする「安定経営」だと思う。

ビッグタイトルではなくとも、こういうやり方で「エロゲー業界」を生き抜いていける、という見事なまでのサンプルと言えるだろう。


ちなみに同ブランドで「双子ノ母性本能」というタイトルがある。こちらは税込みで「9,240円」とハイプライスだが、CD-ROM版・DVD-ROM版と併せて4期2ヶ月ほどランクインしてる(CD-ROM版は出荷数を限定している模様)。

1期目:5位

2期目:10位(CD-ROM版は9位)

3期目:35位

4期目:35位

5期目:ランク外

(上記、DVD-ROM版)


こちらは3/4期目が微妙なラインにランキングされてるけれども、最初の2期分で制作コスト分以上のものは稼いでいる(だろう)からさして問題ない。

なお、「双子ノ母性本能」は2004年5月、「姉とボイン」は2004年10月発売。

それぞれにちゃんと利益を上げ、ユーザにブランドイメージを売る事が出来た、という観点から見ると、零細企業(かどうかは知らないけど)としては充分以上の出来と言える。





あと、見逃せないポイントがTYPE-MOON様の「Fate/stay night」。ただし、見るのは「通常版」の方。

驚くべき事に、144号(2004年3月後半)から今に至るまでランキング50位以内をキープし「続けて」いる。

これが意味するところは単純だろう。


もともとサークルが母体という事を考えれば、「営業」というのを知っている人間がいる、と推察される(あるいは企業化した時に付いた参謀かもしれないが)。

そうしておいて、供給フォーマットを作った人間がいる。


これはエロゲー業界では画期的な事だろう。

あのCLANNADとか下級生2とかいったビッグタイトルでもそこまで「売れ続ける」という現象は生み出していない。


エロゲー業界の人間は、「Fate/stay night」がバカ売れした、という目に付きやすいところではなく、「売れ続けている」という所に目を向けるべきではないだろうか。



ちなみに、2004年以降で7期(3ヵ月半)以上売れつづけたラインナップは以下のとおり。


戦乙女ヴァルキリー 「あなたに全てを捧げます」:15期ルネ:9,240円

巣作りドラゴン:10期ソフトハウスキャラ:9,240円

姫騎士リリア ~魔触の王城に堕つ~:10期Black LiLiTH:2,079円

斬魔大聖デモンベイン:9期ニトロプラス:9,240円

大番長:9期ALICESOFT:8,925円

姉とボイン:8期G.J?:6,090円

MapleColors H:8期クロスネット:5,800円

人工少女2:8期イリュージョン:9,240円

下級生2:8期エルフ:9,240円

姉、ちゃんとしようよっ!2:7期きゃんでぃそふと:8,190円

魔女の贖罪:7期ALICESOFT:2,940円

放課後 ~濡れた制服~:7期BISHOP:8,800円

君が望む永遠 ~DVD Specifacation~:7期age:7,140円

マブラヴ:7期age:9,240円

 (注:マブラヴは2003/2/28発売作品。1年後に7期連続でランクインしている

    これはTYPE-MOON様と違った偉業と言える)



ざっと見る限り、売れ続けているのはシュミレーションゲームか安価なゲームが多い。

やはり「売れつづける」には何かしらの理由があるんだろうか。

当然、小売店の営業努力というのもあるのも否定しないけれども(というより、そちらの方が大きいだろう)




他に特徴があるとしたら…あそこか、と思ってたらビンゴ。

少し古いデータになりますが、2002年8月から


鏡裕之 氏のBlog

>「アリスソフトが『妻みぐい』の大ヒットを

>飛ばしてから一時期ロープライスが注目されたが、

>今はそれほど参入しているわけではない。

>うま味が少ないと判断したのだろう。

>低価格の分だけ規模も小さくて済むが、

>それでユーザーを愉しませるのは

>決して簡単ではないということだ」


と書いてあるが、それは事実というダイヤモンドカットの一面しか見ていないと思う。


2002年8月(105号)から2003年3月(119号)までを丹念に見ると、それが如実に表れている。

(超昂天使エスカレイヤーの売り上げランキング)

105号:1位

106号:13位+2位

107号:8位+11位

108号:ランク外+42位(+1位)

109号:27位(+2位)

110号:22/42位(+2/13位)

111号:28位(+6/16/37位)

112号:42位(+20/27位)

114号:ランク外

115号:29位(+35/40位)

116号:42位(+36位)

117号:42位(+1/37位)

118号:39位(+12位)

119号:36位(+8/31位)

(113号は112号との合併号となっている)


データは2002年のなので、現在と当てはめるには少し無理があるかもしれない。

また、売り上げ本数では無くランキングから見た結果なので、(想定される)利益がどれほど上がっているのかは分からない。

だが、塵も積もれば何とやら、という所だろうか。


いわゆるロープライス(2000円から3980円@鏡氏)が売れた(正確には売れつづけていた)というのは確かに事実。だが、単価が安い以上、それほど利益が上がったかどうかは分からない。

しかし、超昂天使エスカレイヤー@本命@単価が高いソフトが売れ続けている側面がある。


通常、これが可能なのは「知名度が高い」ブランドないしメーカになる。

アリスソフト、という固有名詞はエロゲーユーザの中では上位(というかトップクラス)にあたる。だからこそ、この経営戦略が成り立っているのだろう。

ぶっちゃけて言うと、「どんぶり勘定でプラス収支になればいい」という考え方だ。


なまなかのメーカ・ブランドではこの方法は取れない。だが、なまなか以上のメーカ・ブランドであればこの手法が取れる。アリスソフト様制作の「王道勇者」ならぬ「王道経営」ではある。


アリスソフト様以外のメーカ・ブランドのミドルプライス以下(ロープライスを含む)のえろげの売り上げが思わしくない(ランキング下位が多い)のは、営業・ゲーム性・ブランドイメージもさることながら、その点を見落としているからだろう。事実、アリスソフト様はそれ以降ミドルプライス以下のえろげを積極的に制作・販売していない(売り上げが思わしくなかったか、クリエーターが磨耗(?)したからかは不明)。





もっとも、これと比較されるもので、サーカス様になろうか。

1050円で買えるノベルゲーム「終の館」シリーズが5編ほど制作されている(142号/2004年3月前半~154号/2004年8月後半までランクイン)。

これと同時期に発売されたのが「D.C.P.C. ~ダ・カーポ プラスコミュニケーション~」。

結果としてみるなら、「D.C」のランク維持に貢献しているか、というとそうでもない。

普通の「売れ筋ソフト」と同程度の期間しかランクインしていない。


「終の館」シリーズのデータを見ると、

・終の館~恋文~/2004.02.27発売(1番目)

・終の館~双ツ星~/2004.03.26発売(2番目)

・終の館~罪と罰~/2004.04.30発売(3番目)

・終の館~檻姫~/2004.05.28発売(4番目)

・終の館~人形~/2004.06.25発売(5番目)

で、

       1番目 2番目 3番目 4番目 5番目

発売1期目: 3位 15位  15位    8位  8位

発売2期目: 1位 31位  31位   12位  15位

発売3期目:32位 23位  23位   32位  36位

発売4期目:23位 ――  ――   ――  44位

発売5期目:36位 ――  ――   ――  ――

発売6期目:32位 ――  ――   ――  ――

発売7期目:―― ――  ――   ――  ――

1期=半月

――→ランク外


これを縦軸を(発売以後の期数ではなく)時間軸、横軸をタイトルで表を作ってみると、別の角度が見える。


一応、最初の「恋文」は6期3ヶ月はランキングに入っている。

でも、2作目は3期でランク外に落ちている。

以降、3~4期を過ぎればランク外に落ちている、というのは何を意味してるんだろう。


小売店に届かない(流通に乗せられていない)か、ユーザからそっぽを向かれてしまったのか。


ユーザからそっぽを向かれる、にしてはランクも3月期を除けば10位以内に入っているを考えれば、ユーザからはそっぽを向かれていない、と考えるべきだろう。


となれば、小売店に届いていない、というのが原因か。

その理由は何だろう。


1つ目の理由は、ナチュラルに「単価が安すぎる」のが小売店が嫌がっている、と想定される。

ただ、パッケージそのものはトールケース(っていうんだっけ?)と同サイズだったと覚えているので、販売価格対のスペース占有量はそれほど…って結構あるか(3倍くらい?)


2つ目の理由は、小売店に(流通に)卸そうとせずに作っていない、か。

ただ、メーカは儲かると判断したら卸すだろうから、少し考えにくい。


やはり単価対のスペース占有量が問題なのだろう。

単価を上げて、そちら(ヲタの喜びそうな方面)の量・質を増やすか、CD-ROM(あるいはDVD-ROM)ケースでスペース占有量を減らす方向で販売するか。

(ランク10位以内という)実績があるので、対策さえ立てれば、安定した売り上げを見込める手法かもしれない。




ざっと見る限り、リニューアル版などはあまり売り上げに貢献しない、というのもランキングを見ればわかる。

自分がユーザの立場になってみれば、それは是と言える。


MS-DOSの頃のゲームであれば、リニューアル版は買ってもいいかな、とは思うかもしれない。

事実、「黒の断章 ~THE LITERARY FRAGMENT~」には食指が動きかけた。

しかし、「過去にプレイした事がある」というのは、(出費を抑えるという意味で)最後の最後で踏みとどまる要素になってしまう。

それが致命的だろう。

そういった意味では、あまりリニューアル版は好まれない。たとえ、安かった(ミドルプライス)としても。



ネット接続させる「ネット接続」版も売り上げランキングを見る限りランク維持など現象は生み出していない。

よく考えたらそうではある。

更新頻度の高いセキュリティ・ウィルス定義ファイルなどならともかく、それ単体で稼動して損ではないアプリケーションをネット接続(認証)しても、さほど意味が無い。店頭価格でも1000円~2000円程度の差しかない事情もある。

中古販売に回されるのが嫌だ、というのは分からないでもないが、家庭用コンシューマ機でも中古販売が存在しているし、そもそもエロゲーの中古販売が市場規模が大きいのは小売店の営業努力によるものだ。間違った方に技術・資本をつぎ込んでいるとしか思えない。




ざっくりとデータを見てみた限り、こんな感じ。

何にせよ、販売本数が分からない以上正確なものではないですし、企業として利益があがっているか、という点が不明ですので…。


ただ、自分が言いたいのは「多く売れるのも大事」だけど、「売れ続けるのも大事」だよ、と思っています。

まぁ「Fate/stay night 通常版」のように1年以上売れ続ける現象は難しいでしょうが、せめて6期3ヶ月維持できたら大成功、4期2ヶ月は売れ続ける(後は端境期などで何かしらカバー)ように出来たら…企業の追い求める(べきの)利益は確保できる、と思っています。

っつかナチュラルに営業に出回るのが大切、という事で。

久々にCLANNAD

久々にCLANNADやったけどさぁ…やっぱ汐(主人公の娘)は死ぬべきじゃないだろ。まぁ自分の勝手な考えだと思うけどさ…。

やっぱりイタいんだよ、自分的に。ノンフィクションではなくフィクションだろ、ゲームって基本的に。

それに汐が死ぬ意味って何も無いじゃん。幻想世界にしかつながってないし。

幻想世界がCLANNADのメインだったら話はわかるけどさ、そうじゃないでしょ。

幻想世界は「ゲーム」という観点から見ても、「シナリオ」という観点から見ても「補助的なもの」でしかないんだからさ。


渚(汐の母&主人公の妻)が産褥死する、というのはまだ許せる。

それだけの「シナリオ上の意味」があるから。

「自らの命を賭して(として)まで」というのは、確かに人生で一つや二つはあるのだから。

出世で言えばバクチの一つを打たないと平取以上になれないとか、結婚相手に選ぶ時に実際に「こいつでいいのか」、とかあるわけだからさ。

(ちなみに自分は結婚と恋愛は分けて考えている。結婚相手は「人生のパートナー」であって「恋愛のパートナー」とは限らないから。…だから非モテ系なのかもしれないけどさ(ToT)これに同調する女性ってかなり希少なのよ_| ̄|○)




汐がらみで書くとさ、

汐と主人公が旅行に出かけた時に、汐が死んだ母親(渚)の事を聞くシーンあるじゃない。

「ママのこと、おしえて」って。


効くよね、このセリフ。

主人公が中途半端に放擲してるからこそ、冗談抜きで響くのよ。

しかも、ここで音楽を止める、なんて演出してたりするから、効果抜群。


全て放擲してたら逆ギレっていう最低最悪の手法が取れるけどさ、

妙な立ち位置(全てを捨てきれず、代替するものがない状態)だと…なんて言ったらいいのかな…嫌が応にも過去と向き合ってしまうトリガーになってさ、今まで溜め込んだ「モノ」がまとめて吹き出てしまいかねない。


人はそれを「後悔」って言ってさ、本当に「嫌な事」は思い出したくないのよ。概ね―――死別にせよ生別にせよ―――人との別れがそうさせるんだけどさ。


「何故」「あの時」「ああしなかったのか」という後悔から、その事に目を背けたくなる。

それを思い出させるのが、あの汐のセリフなのよね。

…まぁ愛情を求める子供心からあのセリフが生まれるんだけど(というより子供で無い限りそんなセリフは出てこない)、当事者にしてみれば、歯を食いしばってでもその事を思い出さないように思考してしまう。



物語展開上に存在する「渚の死(産褥死)」と「汐の誕生」という事実。

主人公には「汐の存在(誕生)」が「渚の死」にダイレクトに結びついている。正確には「汐の存在」がトリガーになって「渚の死」を(苦い事実として)思い起こさせる。

正直なところ、本当につらいよね。女性はともかく、男性の視点から見たら「愛する人」>「愛した人が産んだ子」というウェイトの違いは厳然としてあるんだから。


事実、体を張って産むのは女性であって、男性から見たら(こういう書き方は問題があるかもしれないけれども)産まれ落ちる子は「実際に産む女性」を介してのみでしか「自分の子供」と認識しない。否、出来ない。

女性は懐妊して10ヶ月ほどその苦労を「お腹の中の子供と共有」するけど、男性はその苦労を(肉体的に)共有できない。その現実はやっぱり大きいものがあるから(だからこそ「母親は強い」という一般認識につながるけれども)。


そういう現実の差もあって(物語なので厳密に「現実」では無いけれども)、主人公から見たら汐の存在は、その背後に在る「渚の死」という事実を思い起こさせる。

渚を失った哀しみは確かに大きいけど、その哀しみの大きさから主人公は「何故、渚は命を賭してまで汐を産んだのか」という意義を忘れてしまっているんだよね。



そして、その意義を思い出すのが、あの旅のシーンなんだろうね。

(父親の在り方(の一つ)を識る【トリガー:祖母との会話】

 ≒汐を娘として認識する【トリガー:汐が無くしたおもちゃ→主人公の胸で泣く汐】

 ≒汐を渚の死の代替にする【トリガー:母親(渚)の事を話す主人公】


そういった意味では、あの旅のシーンは非常に濃縮されたシーンだよね。早苗(義理の母親)が仕向けた旅行だけどね。

文学(物語)を吸収しているゲームならでは、と言えるかもしれない。小説でも可能と言えば可能なんだろうけど。



ただ…さ、一つ言わせて貰っていいかな、<KEY様


早苗という固有名詞はリアル母親と同じ名前なんですが、これは何かの罠ですか?





CLANNADで引っかかるのが、(先ほどの旅のシーンに絡む事だけど)やっぱり主人公の父親だね。


汐と共に生きるのを決意した主人公がさ、親父さんと和解(?)するシーンで、

「もう…おれはやり終えたのだろうか…」

というセリフがあるんだけど、そのセリフは、親父さんが主人公を育てる決意をしたその瞬間に「戻った」という事でしかないんだよね。

分かりやすく書けば、経過をすっ飛ばして結果に至っちゃった、という具合。



ぶっちゃけて書くと、それはあり得ないんだよね。

人生って、足跡が積み重なったもの(ここでは主人公と親父さんが歩んだ軌跡)だから、経過をすっ飛ばしちゃったらクソの意味も為さない。


親から子へと伝わる「何か」。果たして、岡崎父子にはそれが何かあっただろうか。


厳密に言えば、それはある。

「子供を育てる」という「事象」が厳然として存在している。


確かに、それは重要事ではある。

子孫を残す、という生物学上の本能と定義すれば、それは正しい。


だが、一点だけ欠けてるところがある。

CLANNADの最大の欠点は、岡崎直幸―岡崎朋也の親子ライン、ではなく岡崎朋也―岡崎汐の親子ラインの同軸上にある「母無し子」から来る「父親」という存在意義(レゾン=テードル)…って書くと大仰な印象になっちゃうけど、「母無し子」を補う「別の何か」が非常に薄い。

最終的には「親は無くとも子は育つ」という点に帰結してしまうのが、やっぱり致命的。

その代替として古河秋生・早苗ペアがいるけど、渚・汐というフィルターがかかってしまう以上、本質的なものにはなりきれない。


自分がCLANNADを含めたKEY作品が嫌いなのは、そういった父性愛をあまりにも軽視しすぎてるのが大きい。


まぁヲタを相手にした商売だと、そういう父性愛―――子供にとって現実という社会を代替する「厳しい」存在―――よりも、包み込まれる愛情といった母性愛が受ける、というのは事実ではあるよね。

一応、Airが家庭用コンシューマ機で発売されたけど、結局ヲタ世界の中での評価に留まってしまったのは、多分その点もあるんじゃないかな。

キツい書き方をすれば「ヌルい」からね。KEY作品の世界って。

…それを演出でカバーしてる、というのが自分の評価なんだけどさ。


サッカーが分かる人にしか通じない話だけどさ、中田英寿選手がいるじゃない。

中田選手は、突き詰めて言うと能力的にはさほどじゃないのよ。自分が見る分には。

ただ、(数年前は)フィジカルな強さが非常に優れてた、というのがある。「短所を補って余りある長所」と書けば分かりやすいかな?

それに近いんだよね。


ある要素はそれほど優れてるわけじゃないけど、別の要素でそれをカバーできてる。

それがKEY作品だと思ってる。

演出が、登場人物・物語展開を最大限に活かしている、というのが、ね。





あと適当に。



あ、そうそう。

CLANNAD最大のガンと言われる幻想世界ですが(っつかオレだけ言ってる?)、アレ全部読みました。

…いや、ゲーム中だとすげぇタレるから途中から忌避しちゃったんですわ( ̄∀ ̄A``



草野球編である「汚名万来」という言葉。

…ワザとだろーな…この言葉…。



AfterStoryで酒を呑むシーンがあるけどさ、ちゃんと漢字は「飲む」じゃなくて「呑む」と表記しているのは自分的に好き。

誰がシナリオライターか知らないけどさ、「アンタ、漢と書いて男と呼んでやるよ」と一人ごちたりさ。



で、渚がファミリーレストランでバイトする、というシーンになって思うこと。



制服は3種類あるんですよねあるんですよね、



ですよね!


…EsLoadは10年くらい前から某ゲーム中毒に陥ってまだ完治してません



あと、内診台。

渚のセリフ、「朋也くんより、開かれましたっ!」はオトコとして微妙なラインなんだよなぁ…怒っていいのか苦笑していいのか…

ネタとしては悪くないんだけど(^^;


…まぁその後(夢のシーン)にある早苗の「秋生さんの1/2ですねっ」というのは完全無欠なまでに切腹モノではあるが。

「届いたんだから、いいじゃん」って朋也はん、それちと微妙にズレてるから。


そんな感じな久々CLANNADでした。

ちょっとした違和感

微妙に思ったのですが、何気にこの記事 @朝鮮日報についている盧武鉉大統領の写真っておかしくないですか?


微妙に盧武鉉大統領が平面(板)に見えるのは多分、自分の目の錯覚なんでしょうけど、


場所がモスクワですよね。

で、この時期ですよね。

プーチン大統領はコート着てて、盧武鉉大統領ってコート着て無いですよね?


ついでに傘を持ってますよね、プーチン大統領。


…?

気のせいかな?


>韓ロ首脳の同日の会合は、ロシア政府が主催した対独戦勝記念行事に出席した53か国の首脳のうち、プーチン大統領が6か国の首脳と15分から20分ずつ話し会う形となった。6か国は韓国のほか、中国、日本、ロシア、フランス、インドだった。


???


な~んか上げ足取りっぽい記事になりましたが、異様に気になったもんで。

人魚姫

;●●●書き始め●●●

;5/10 0:40


その老婆はある一節を思い出した。

愛は人を盲目にさせる―――。


老婆は改めて目の前にいる少女を見やった。


その瞳に在るものは、混じりけの無い純真な想い。


―――妾(わたし)にもそのような時期があったのぉ。


脳裏をよぎる若き日の思い出。

甘い刻、苦い刻。


昔は甘い刻を、今では苦い刻を多く思い出す。


老婆は最初その話を聞いたとき、少女を説得しようとした。


―――悪い事は言わん。

お前さんの気持ちは分かるが、そのような男の事は忘れた方がええ。

そもそも、住んでいる世界が違うではないか。


老婆の問いかけに、時折少女は言葉に詰まらせたりした。

しかし、それでもめげずに少女は老婆に哀願した。


ひたすら、「お願いします」と。


老婆は、少女の説得を諦めた。

諦めたが、少女の覚悟の程を知りたい、と思った。

かつて、自分も少女と同じく、人を愛した事があったから。


どのようにして、覚悟の程を知るか。

―――さて、どうしようかの。


すぃ、と脳裏に浮かぶシチュエーション。


―――我ながら悪辣、じゃの。

だが、これほど効果的な質問は無い。


少女は、今までに無く困惑するだろう。

しかし、少女が「YES」と答えたら、それは少女の退路を断つ事になる。


それほどの覚悟があるかどうか。


老婆は口を開いた。


「お前さんがそれほど言うのなら、お前さんの望む物をあげよう。

 しかし、条件が1つある」


「条件、ですか?」


「ああ、もし、お前さんが惚れた男が別の女と結婚したら―――」





一人、バルコニーに佇む(たたずむ)。


昔に交わした、老婆との約束。


思い返せば、つい昨日のよう。


今までは、そんな事は思い出さなかった。


しかし、目の前の現実と、歩くたびに疼く(うずく)足が、

それを否応無く思い出させる。


少女は、自分が愛した男の行動が信じられなかった。


最後には、振り向いてくれると信じていたのに―――。


何故?


最初は、そればかり考えていた。


しかし、考えるのをやめた。


そして、今、一人でバルコニーに佇んでいる。


ドレスの下に隠された銀のナイフが、少女の心に囁く(ささやく)。


―――あの男を刺せば、私は死ななくて済む。


少女は、頭(かぶり)を振り、その囁きを振り払った。


だが、なおも心に囁きかける、声。


―――どちらにせよ、あの男は死ぬのだから、お前だけでも―――。





少女が未だ陸上に住まわず、海の中で生きてた頃。

未だ、身体が女性のそれでは無かった頃。

4人の姉たちが「フィリア」と呼び、愛しんで(いつくしんで)くれてた頃。


少女たちは、海岸に程近い岩陰で歌うのを習慣としていた。


少女たちからみれば、

歌うのが好きだったからこそ、半ば習慣化した行いだった。


しかし、少女たちとは違う人間―――船人たちから見れば、

彼女の存在は恐怖の存在だった。


曰く、

歌声が聞こえたと思ったら突然、金縛りにあって動けなくなった。


曰く、

歌声の主を見た者が、美しさのあまり、わけのわからない事を口走りながら

海の中に飛び込んだ。


曰く、

切り立った岩陰に居たのは、くっきりと整った目鼻立ち、抜けるような白い肌、

豊かな乳房、細くくびれた腰、

そして、魚の尾のような下半身をおおう銀色のうろこ。


彼女らの歌声によって、何人の船人が命を失った事か。

そして、何隻の船が沈んでいった事か。


船人たちは、彼女らを「セイレーン」と呼び、恐れていた。






目の前で、船が沈む。

豪奢で大きな船が沈む。


大きく傾き、周りに渦を作って沈む船。

渦に飲まれていく、多くの人。


海の中を泳いでいたフィリアは、沈みゆく一人の男を見つけた。


決して義務感ではない。

気まぐれで、その男を助けようとした。


沈み行く船が作る大きな渦とはいえ、

海の中に生きるセイレーンにとっては、多少強い風ほどにしか感じない。


それほど苦にする事無く、少女は目の前の男を抱きかかえた。


―――温かい。


皮膚にぴったりと張り付いた絹のシャツから、その男の温かみが伝わってきた。


人を助ける、という緊急時なのに、沸き起こった新たな発見。

そして、ゾクリと脊髄を通り軀(からだ)の奥に宿った僅かな感覚。


―――何、この感覚は?


それを何と言っていいのか分からない。

気持ちいい、と思ったが、海面に顔を出し、男の顔を覗くと一時的にその感触を忘れてしまった。


呼吸困難に陥ったためか、顔色は悪く、意識も失っているようだ。

だが、その顔は、フィリアの心を捉えるほど美しかった。


一瞬、呆然としたが、少女はすぐ近くにあった岩陰に男を担ぎ上げた。


男の口から、海水が吐き出される。

フィリアはそれを苦に思う事無く、男にぴったりと寄り添った。


―――ゾクリ。


先ほどと同じ感触が、男の僅かな温かみと共にに染みとおる。


―――気持ちいい。


フィリアはいつしか、男を抱きしめていた。


触れれば触れるほど、軀(からだ)を貫き通す感触。

気持ちよさ、とは少し違う。

気持ちよさの一つ上をいっている。


フィリアはその感触―――快感をさらに求め、男のシャツを脱がせて軀(からだ)をまさぐった。




遠くから声が聞こえる。

フィリアが回りを見渡すと、そこにあったのは朱みを濃くした日と、何艘かの船。


フィリアはそれを無視して男の軀(からだ)をまさぐっていたが、

船が近くなるにつれ、大きくなる声。


忌々しく思いながらもフィリアは男の軀をまさぐっていたが、

軽く男の頭が動いたのを目にした。


「う…」


男の目が開く。


「こ…ここ…ごふっ」


男の口から、わずかな海水が吐き出された。

その海水がフィリアの乾いた髪を濡らす。


「かはっ…はぁっ、はぁっ…」


呼吸が安定して落ち着いたのか、男は自分の胸に顔をうずめている「人」に気付いた。


「き、君は…?」


至近で向き合う、男とフィリア。

その距離、わずか10数センチ。


―――可愛い。

男は、少女の事をそう思った。


―――綺麗。

フィリアは男を見てそう思った。


互いが互いを見つめあい、一瞬、時が止まったかのように硬直した。


だが、それも一瞬だった。


男の耳に入ってきた声、そして波音。

自分が気を失うまでどこにいたのか。


それらに気付いて、自分の置かれた状況を把握した。


「遭難、したんだっけ…」


大きくため息をついた男。


そして自分を抱きしめている少女に向かって言った。


「君が助けてくれたんだね、ありがとう」


「助ける…?」


フィリアはきょとん、とした。

そして、自分が最初、何のために行動したのかを思い出した。


「あ…そうだった」


男の軀(からだ)をまさぐって快感に浸っていたため、最初の目的をすっかり忘れていた。


「ええ、私が助けたのよ」


にっこりと微笑むフィリア。

同時に跳ねるフィリアの下半身。


「う…!」


男の顔がひきつる。

それも当然だろう、フィリアの下半身にあるのは、人間のそれではなく、魚のそれ。


―――これが世に言うセイレーン。


男の頭に響く、海の伝説。

今、それがまさに目の前にいる。


―――ズキン!


後ずさりしようとした男だったが、背中を貫いた痛みがそれを阻む。


「うっ…!」


「どうしたの?」


「……。」


フィリアが邪気の無い顔で問い掛けたが、男は何も答えなかった。


「あなた、お名前は?」


フィリアがなおも問い掛ける。

しかし、男は目をつぶり歯を噛み締め答えようとしなかった。


「ねぇ、あな…」


「フィリア!!」


別の声がフィリアの声を妨げた。


フィリアが後ろを振り向くと、そこには柳眉を逆立てたフィリアの姉がいた。


「フィリア、あなた、そこで何をしているの!」


「何…って…」


「早く、そこから離れなさい。すぐ近くには人間が沢山いるのよ!」


「でも…」


フィリアは自分が抱きしめていた男を見つめた。

男は、2人を交互に見つめていた。


「フィリア、早くこちらに来なさい!」


「う…」


フィリアが回りを見渡すと、船がこちらに近づいているのに気が付いた。


僅かに逡巡しながらも、フィリアは男の身体から離れ、海に落ちた。


海に潜る寸前、フィリアは男の方を見た。


そこには、こちらを見つめる男の姿。


―――また、会いたい。

そして、あの快感が欲しい。


フィリアはその想いを胸にしながら、深く潜っていった。





それから数年後。

フィリアの軀(からだ)も少女から大人のそれに変わり行く頃。


フィリアは岩陰で何もせずに佇んで(たたずんで)いた。


そこは、かつて男と共に居た岩陰。

いつしか、フィリアはそこに通うようになっていた。


しかし、今日はいつもの気まぐれで、歌う気にならない。

ただ、何もせずにそこにいた。


時々思い出す、あの時の男。

そして、あの時感じた快感。


それは、今までの生活ではついぞ得られなかった。


時々、姉や母、祖母にそう言った快感を聞いてみた。

しかし、それについては誰も知らなかった。


隠している、というのも違う。

本当に知らないようだった。


フィリアには、それがもどかしい。

そして、同時に思い出す、あの男の美貌。


もう一度、会いたい。


しかし、名前も聞かず、自分の名前も明かさず、

どこに住んでいるのかも知らぬ相手は探しようが無い。


ましてや、自分はセイレーン、相手は人間の男。

まさに住む世界が違う。


何故あの時、もっと―――。


時々襲ってくる、懐古の念。

フィリアは浸した尾で水を跳ね飛ばした。


その跳ね飛ばした水の向こう。

遠くに、何隻かの大きい船が在った。


一瞬、ビクリ、と驚くフィリア。


「脅かさないでよ、あんな人間の乗った船―――」


そこまで言って、フィリアは思い出した。


―――そういえば、あの男も船にいたっけ。


フィリアは遠くに見える船団に向かって泳ぎだした。




フィリアは自分の歌声には自信を持っていた。


だが、それが人間にとっての「悪夢」とまでは知らない。

「勝手に歌声に惚れて溺れる」のが人間の性(さが)と思っていた。


だから、自分の歌声がどれほど恐れられているか知らない。

だから、自分の歌声がどれほどの被害を出すか知らない。


ただ、歌えばあの人と会える―――。

そう考え、心を込めて歌った。


そして、歌声に惑わされた船員が続出した。




沈んだ船そのものには興味が無い。


沈み行く船の作り出す渦に巻き込まれる「それ以外の男」には興味が無い。


フィリアの求める「男」がいない。

それがフィリアには腹立たしかった。


渦に巻き込まれる沈み行く船と人の間を泳ぎぬけるも、

フィリアの求める「男」は見当たらない。


幾艘かの船が沈み、ひときわ豪奢な船が沈んだ時。

周りの船が、救護船を繰り出し、一人でも多くの、

あるいは高貴な人を助けようとしている時。


フィリアは真っ白なシャツを来た男を見出した。


―――あれかな?


渦に邪魔されながらもフィリアは男の近くまで泳ぎ着いた。


そのまま抱きかかえ、海上に向かう。


―――ビクン


かつて感じたあの快感。

思わず、フィリアの口元に笑みが浮かぶ。


そう、この感覚―――。


懐かしくも思い出しながら、フィリアは男を抱きかかえ、海上を目指して泳ぐ。


海面に顔を出して、その顔を確認した。


―――また、会ったね。


いくぶん大人になった顔つきだったが、あの時の「男」に間違いない。


フィリアはこちらに向かう救護船に目もくれず、

遠くに見える砂浜に向かって泳いでいった。




広がる砂浜には誰も居ない。


誰かが居たとしてもフィリアは意に介さなかっただろうが、

フィリアはあの時と同じように男のシャツを脱がせ、

あの時と同じように男の軀(からだ)をまさぐった。


―――ゾクリ


あの時と同じ快感が背中を突き抜ける。


男の軀(からだ)をまさぐり、軀を重ねる。


―――こんなに気持ちのいい事。


フィリアが陶酔に溺れようとした瞬間。


「…フィリア」


聞き慣れた声がフィリアの耳に入ったような気がした。

しかし、フィリアは気付かない。


「フィリア!!」


はっ、として、フィリアは後ろを振り向いた。


そこにいたのは、フィリアの姉。


「あなた、また…」


「ね、姉さん…」


「あなたがその男を助けた事をどうこう言うつもりは無いわ。

 でも、その男をどうしようとしてるのかは聞きたいわね」


「え…?」


「でも、今はそんな時間は無いわ」


「な、何…?」


「すぐ近くに人間が来ているわ。

 はやく逃げるのよ」


「に、逃げる…?」


フィリアは周りを見渡した。


広がる砂浜、切り立った崖、遠くに見える人家。


そしてこちらに走り寄る人。


「え、え…?」


「人がこちらに来ているのよ!

 早く逃げるのよ!」


混乱したフィリアだったが、

逃げなければならない、というシグナルが頭の中に響く。


フィリアは、混乱したまま海に逃げた。




その後、フィリアは姉たちに諭された。


「人間は愚かで残忍な生き物」

「セイレーンを忌み嫌い、迫害する」


どれもこれも以前、聞いたものばかり。


要は「危険だから近づくな」という事を言っているのだが、

普段はフィリアと同じ奔放な姉たちが、人間の事に限って

嫌い抜いているのは、フィリアにとっていささかおかしかった。


だが、フィリアは対抗した。


あの人に、会いたい。


ただ、それだけだった。

それだけを主張した。


いくら諭そうとしても聞かないフィリアを見かねて、

姉の一人がついに折れて、男の素性を打ち明けた。


「そんなに言うのなら、あの男が住んでいるところの近くまで案内してあげる。

 ただし、一度だけよ。

 人間に見つからないように、見ただけですぐに帰ってくるのよ」




―――月の明るい夜。


フィリアと姉の一人は、あの時の砂浜近くを流れる川を上り、

幾つかの水路をくぐり抜けて、砂浜の上にあった城の近くまでたどり着いた。


水の上に影を落とすバルコニー。


そこに、あの時の男がいた。

楽器をかき鳴らしており、その様子は美しかった。


フィリアは嬉しさのあまり、男に声をかけようとしたが、姉に止められた。


フィリアは不服だったが、男を驚かせるだけだった事もあり、

それを是として黙って男の姿を見つめていた。


やがて、男を呼ぶ声が聞こえた。


そろそろ―――。

フィリアは自分の腕を取った姉の意図を察した。


フィリアは軽くうなずいた。


とぷん、とぷん―――。

大きく浮かぶ2つの波紋。


水路に潜ったフィリアは、先ほどの「声」を思い出した。


「フィリックス様、そろそろお寝み(おやすみ)になりませんと―――」


フィリックス、っていうのね、あの人―――。

フィリアはその名前を胸に刻み付け、泳ぎつづけた。


;●●●ここまで書き終わり●●●

;5/10 4:00

;続き@人魚姫2 @wrote on 05月13日 01時02分16秒

;続きの続き@人魚姫3 @wrote on 05月19日 07時59分25秒

;続きの続きの(以下省略)@人魚姫4 @wrote on 05月21日 06時43分09秒

;続きの続きの(以下省略)@人魚姫5 @wrote on 05月24日 13時50分46秒

;続きの続きの(以下省略)@人魚姫6 @wrote on 05月24日 14時20分42秒

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元ネタは読めば分かりますので、敢えて書きません。

っつか突っ込み禁止。




ちなみに、原作はアンデルセン童話ですね。基本的に。

水の精と言いましょうか、そういったモノはウンディーネあるいはオンディーヌと言われていますが、ここではセイレーンとして統一しときます。

何も考えていないっちゅーか面倒くさいっちゅーか

だから突っ込み禁止で。




何も考えていないといえば、「フィリア」「フィリックス」という名前もそう。

こちらは完全無欠に適当に付けました。

「フィ」で始まる名前でどっかのファンタジー系小説であったよーな気がするなぁ、と思い出したからこの名前にしました。

記号としての名前なんで、あんまし気にしないで下さい。

…別に「ペドフィリア」から取ったワケじゃないので念のため。


あ、一応言って置きますが、別にポルノ小説という感覚で書いたワケではありませんので念のため。

いや、「そーゆー描写しといていまさら何抜かすんじゃぃワレ( ̄皿 ̄メ)」と言われるかもしれませんが、いや、マジです。




ちなみに、「軀(からだ)」という漢字ですが、これはUnicode形式なんですねぇ。

珍しい漢字なんで確かにそうなのかもしれんなぁ、また勉強になったよ、と思いながら保存しようとするたび「Unicodeなんちゃら~」と出てくる「Notepad」をウザく思ってました。

ちなみに「軀」と書くよりは「身体」と書く方が傀儡(くぐつ)っぽい雰囲気で「入れ物」を彷彿とさせて官能的なもんで、この漢字を充てました。

…官能的だからって別にポルノ小説という(以下省略)




ファイルサイズは13KB。

元ネタがはっきりしている(?)ので3時間でこの程度を書き上げられましたが、何気に容量は多くいかないですねぇ。

シナリオライターの苦労が仄見える瞬間です。


さぁて、これからはいろんなエロゲ関係の資料を読みまくる事にしますか。

書いてて「何て非生産的な事をorz」と思ったのは秘密の話で。